収益物件の選び方と現地見学の手順|物件選定から購入前の確認までの流れ

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「収益物件を探し始めたものの、何を基準に選び、現地で何を見ればいいのか分からない」という方は多いのではないでしょうか。

結論として、収益物件は、選ぶ基準を先に決め、資料で絞り込み、現地で資料と実態が合っているかを確かめる順で選びます。利回りの数字だけで決めず、「その家賃で入居が続くか」「買った後にいくらかかるか」を、購入の申し込みをする前に確認することが大切です。

この記事では、物件選定の基準、資料の見方、現地見学のポイント、購入前の調査、契約から引き渡しまでの流れを解説します。市場調査(ステップ2)と融資先の検討(ステップ3)に続く、購入判断に近づく段階です。地方の収益物件で見落としやすい点も、取引と管理の実務の視点から整理しました。

目次

結論|収益物件は「基準→資料→現地→調査→契約」の順で選ぶ

収益物件選びは、段階ごとに確認する内容が異なります。先に全体の流れを把握しておくと、どの時点で何を見ればよいかが分かります。

段階やること主な確認内容
1. 基準を決める目的・予算・融資の見込みから、探す物件の条件を決めるエリア、物件の種類、価格帯、築年数と構造
2. 資料で絞り込む物件概要書やレントロールを取り寄せる現況の家賃収入、空室、経費、修繕履歴
3. 現地で確認する資料の内容が実態と合っているかを見る建物、共用部、駐車場、周辺の競合物件
4. 購入前に調査する権利関係、法令上の制限、賃貸借契約を確認する登記、境界、接道、滞納、敷金
5. 申し込み・契約買付証明書、重要事項説明、売買契約、決済へ進む契約条件、融資特約、引き渡しの内容

申し込みの後は時間の余裕が少なくなるため、確認はできるだけ手前の段階で済ませておきます。

1. 物件選定の基準を決める

物件を探す前に、投資の目的、予算、融資の見込みから「探す条件」を決めておきます。基準がないまま物件情報を見ると、利回りの高さや価格の安さに判断が引っ張られやすくなるためです。

投資目的から条件を決める

毎月の家賃収入を重視するのか、将来の売却まで含めて考えるのかで、選ぶ物件は変わります。

  • 家賃収入を重視する場合:賃貸需要が続くエリアで、経費と返済を引いた後に手元に残る金額を基準にします。表面利回り(年間の家賃収入を物件価格で割った数字)ではなく、空室と経費を見込んだ収支で比べます。
  • 売却まで含めて考える場合:次に買う人が融資を使いやすい物件かどうかを確認します。地方では買い手の数が限られるため、値上がりを前提にせず、「売るときに誰が買うか」を購入前に考えておきます。

「駅徒歩◯分」「築◯年以内」を一律の基準にしない

立地や築年数の基準は、エリアと物件の種類に合わせて決めます。都市部でよく使われる「駅から徒歩10分以内」という基準は、北関東のように車での移動が中心の地域には、当てはまらないことがあるためです。

項目基準を決めるときの考え方
立地入居者が通う勤務先・学校・商業施設までの距離と、車での出入りのしやすさを見る。車社会のエリアでは、駅からの距離より駐車場の有無が入居に影響することがある
物件の種類単身向けかファミリー向けか、一棟か区分かを、エリアの入居者層に合わせて選ぶ
築年数・構造築年数だけで判断しない。借りられる期間に影響するため、金融機関の見方と修繕履歴をあわせて確認する
駐車場戸数に対する台数を確認する。目安は単身向けで1戸につき1台、ファミリー向けで1戸につき2台程度だが、地域や物件によって異なる
収益性表面利回りだけでなく、空室・経費・返済を引いた後の収支で比べる

エリアを選ぶ視点は、地方不動産投資は「需要が読めるエリア」を選ぶで詳しく解説しています。

管理しやすい物件かという視点を加える

管理の現場では、入居が安定している物件に、目立つ特徴がないことが少なくありません。間取りが標準的で、駐車場が足りていて、設備の交換がしやすい物件は、空室が出ても次の募集がしやすいためです。

2. 物件情報を集め、資料で絞り込む

物件情報は、情報サイトと不動産会社の両方から集め、気になる物件は資料を取り寄せて絞り込みます。現地に行く前に資料で確認できることは多く、見学する物件を先に絞るほうが効率的です。

物件情報の集め方

  • 収益物件の情報サイトで探す:楽待、不動産投資連合隊など、収益物件に特化したサイトでは、エリア、価格、利回り、築年数などの条件で検索できます。同じ条件の物件がいくらで売りに出ているかを見続けると、価格の相場感がつかめます。
  • 地元の不動産会社に相談する:サイトに掲載する前の物件を紹介されることがあります。ただし、未公開の物件が良い物件とは限りません。公開されている物件と同じ基準で確認します。

取り寄せたい資料と見るポイント

資料見るポイント
物件概要書価格、所在地、構造、築年月、土地と建物の面積。利回りが満室想定か現況か
レントロール(部屋ごとの家賃と入居状況の一覧)部屋ごとの家賃の差、入居した時期、空室の数と期間、駐車場の契約状況
固定資産税の課税明細書毎年かかる固定資産税・都市計画税の額、土地と建物の評価額
修繕履歴屋根・外壁・給排水設備をいつ直したか。記録が残っているか

資料の利回りが「満室想定」の場合は、現在の家賃収入で計算し直します。入居した時期が古い部屋は、現在の募集家賃より高い家賃で契約していることがあります。その部屋が退去した後は家賃が下がる前提で、収支を見直しておきます。

収益物件の取引では、利回りが周辺より高い物件には、空室、修繕の先送り、駐車場の不足など、理由があることが少なくありません。

3. 現地見学で資料と実態が合っているかを確かめる

現地見学の目的は、資料に書かれた内容が実態と合っているかを確かめることです。建物の傷み、共用部の管理状態、駐車場の使われ方、周辺の空室は、現地でないと分かりません。

現地で見るポイント

場所見るポイント分かること
建物の外回り外壁のひび割れ、塗装の剥がれ、鉄部の錆、屋根や雨どいの状態近いうちに修繕が必要になりそうか
共用部廊下・階段・ゴミ置き場・駐輪場の清掃、掲示物、集合ポストにたまったチラシ日常の管理が行き届いているか、空室の実態
駐車場区画の数と幅、出入りのしやすさ、実際にとまっている台数資料の台数と合っているか、入居者が使いやすいか
空室の室内床や壁の傷み、水回りの状態、カビやにおい、日当たり、収納募集の前にどのくらいの工事が必要か
周辺近くの賃貸物件の空室と募集条件、生活施設までの距離、道路の広さ競合の多さ、家賃設定が妥当か

見学するときの注意点

入居中の部屋は、原則として室内を見ることができません。見学できるのは空室と共用部が中心になるため、入居中の部屋の状態は、レントロール、賃貸借契約書、修繕履歴、管理会社への聞き取りで補います。

現地を見ただけでは判断しにくいのが、家賃と空室の見立てです。エリアで賃貸の募集をしている管理会社に話を聞くと、決まりやすい家賃帯や間取りが分かることがあります。聞き方は、収益物件の購入前に管理会社へ聞いておきたい質問で整理しています。

現地で見る項目を具体的に確認したい場合は、建物・周辺環境・駐車場・賃貸需要に分けた地方物件の現地調査チェックリストを使うと、見落としを減らせます。

4. 購入前の調査(デューデリジェンス)で権利・賃貸・修繕を確認する

購入候補が決まったら、権利関係、賃貸借契約、修繕の3つを書類で調べます。デューデリジェンスとは、購入前に物件のリスクを調べる作業のことです。現地では見えない問題は、書類でしか確認できません。

権利関係と法令上の制限

  • 登記:所有者が売主と一致しているか、抵当権などの担保が設定されているかを、登記事項証明書で確認します。
  • 境界:隣地との境界標があるか、越境しているものがないかを確認します。境界がはっきりしない場合は、売主に境界の明示を求められるかを不動産会社に相談します。
  • 接道:敷地が建築基準法上の道路に接しているかを確認します。原則として、建築基準法上の道路(幅員4m以上が基本)に2m以上接していない敷地には建物を建てられないため、建て替えが難しくなります。
  • 用途地域などの制限:建てられる建物の種類や大きさの制限を確認します。現在の建物が今の基準に合っているかも、あわせて確認します。
  • 建築確認と検査済証:建築確認済証と検査済証があるかを確認します。書類がない場合、融資の審査に影響することがあります。

収益物件の取引では、接道や検査済証の問題は、買うときよりも売るときに影響が出やすい点です。次の買主が融資を使いにくくなり、買い手が限られるためです。

賃貸借契約と入居の状況

オーナーチェンジ(入居者がいる状態での売買)では、買主が貸主の立場を引き継ぎます。入居者との契約内容は、買った後に変えることが難しいため、購入前に確認しておきます。

  • 賃貸借契約書:部屋ごとの家賃、契約期間、特約の内容が、レントロールと一致しているか
  • 滞納:家賃の滞納がないか。ある場合は、金額と経過、保証会社の利用の有無
  • 敷金:預かっている敷金の額。敷金を返す義務は買主に引き継がれるため、売買代金の精算でどう扱うかを確認する
  • 空室の経過:空室がいつから続いているか、募集の条件と問い合わせの状況

修繕履歴と今後かかる修繕費

修繕履歴は、屋根、外壁、給排水設備をいつ直したかを確認します。区分マンションと違い、一棟物件には管理組合の修繕積立金がありません。修繕の費用は、オーナーが自分で用意することになります。

履歴が残っていない場合や、長く手を入れていない場合は、購入後に費用がまとまってかかる可能性があります。建物の状態に不安があるときは、建築士による建物状況調査(インスペクション)を依頼する方法もあります。

修繕費との向き合い方については、収益物件の修繕費、どう向き合う?先送りしないための考え方もあわせてご覧ください。

5. 複数の物件を比較し、申し込み前に収支を見直す

候補は1件に絞り込まず、2〜3件を同じ項目で比べると判断しやすくなります。1件だけを見ていると、その物件の良い点に目が向き、条件の弱い部分を見落としやすいためです。

比べる項目見るポイント
収支現況の家賃収入、空室と経費を見込んだ後に手元に残る金額
修繕近いうちに必要になりそうな工事と、費用の見込み
賃貸需要周辺の空室、競合物件との家賃や設備の差
融資金融機関の評価、借りられる期間、必要な自己資金
出口売るときに、次の買主が融資を使いやすい物件か

申し込みの前に、現地と調査で分かった内容を収支に反映します。家賃を現況に直し、空室、修繕費、管理委託料、固定資産税を入れて、返済後に手元に残る金額を確認します。事前審査の条件と、物件価格・諸費用が合っているかも、この時点で見直します。

収支の試算には、収益物件かんたん収支シミュレーションを使うと、利回りと返済額をまとめて確認できます。

空室、修繕、家賃の下落は、どの物件にもあるリスクです。なくすことはできないため、「家賃が下がっても返済を続けられるか」を、数字で確認しておきます。

6. 購入の申し込みから契約・引き渡しまでの流れ

買う物件が決まったら、買付証明書の提出、重要事項説明、売買契約、融資の本審査、決済・引き渡しの順に進みます。契約を結んだ後は条件を変えにくくなるため、契約書と重要事項説明書の案は、契約日より前に受け取って読んでおきます。

買付証明書を提出する

買付証明書(購入申込書)は、購入したい価格と条件を売主に伝える書面です。価格のほか、融資を利用するかどうか、契約と引き渡しの希望時期などを記載します。一般に、提出しただけでは売買契約は成立しません。ただし、安易な取り下げは、売主や不動産会社との信頼に関わります。条件を整理してから提出します。

重要事項説明を受ける

重要事項説明は、売買契約の前に、宅地建物取引士が物件と取引条件について説明する手続きです。説明の内容は「重要事項説明書」に記載されています。収益物件では、次の点を確認します。

  • 接道、用途地域など、法令上の制限
  • 境界や越境の有無
  • 賃貸借契約の内容と、敷金の引き継ぎ
  • 契約の解除に関する取り決め
  • 契約不適合責任(引き渡された物件が契約の内容と違っていた場合に、売主が負う責任)の範囲と期間

区分マンションの場合は、管理費と修繕積立金の額、滞納の有無も確認します。当日に初めて読むと、分からない点を確認する時間が取れません。事前に書類の案をもらい、疑問点をまとめておくことをおすすめします。

売買契約を結び、手付金を支払う

売買契約では、契約書に署名・押印し、手付金を支払います。手付金の額は、売主と買主の合意で決まります。契約書では、次の点を確認します。

  • 手付解除:いつまで、どの条件で契約を解除できるか
  • 違約金:契約に違反した場合の金額
  • 融資特約:融資が承認されなかった場合に、契約を白紙に戻せるか。対象の金融機関、金額、期限
  • 引き渡しの条件:家賃や固定資産税の精算方法、引き継ぐ書類と鍵

融資の本審査から決済・引き渡しへ

売買契約の後、金融機関の本審査を受けます。事前審査に通っていても、本審査で条件が変わったり、承認されなかったりすることがあります。融資特約の期限までに結果が出るよう、必要書類は早めにそろえます。

本審査で承認されると、金融機関と金銭消費貸借契約(お金を借りる契約)を結びます。決済日に残代金を支払い、所有権移転の登記を申請して、物件の引き渡しを受けます。引き渡しでは、賃貸借契約書、鍵、設備の資料など、引き継ぐ書類がそろっているかを確認します。入居者と管理会社への所有者変更の連絡方法も、事前に決めておきます。

引き渡しを受けた日から、入居者対応や修繕の判断が始まります。管理を委託する場合は、購入後に管理を任せる不動産管理会社の仕事内容と、契約で確認したいことを事前に把握しておきましょう。

管理会社の候補は、購入の前に決めておくと、引き渡しの後すぐに募集や入居者対応を始められます。

よくある質問

Q. 収益物件の現地見学は、何回くらい行うべきですか?

A. 決まった回数はありません。可能であれば、時間帯や曜日を変えて複数回訪れることをおすすめします。昼と夜、平日と休日では、駐車場の埋まり方や周辺の雰囲気が異なることがあります。

Q. 現地見学の際、管理会社にも話を聞くべきですか?

A. 可能であれば、話を聞くことをおすすめします。現在の管理会社への確認は、売主の事情もあるため、仲介する不動産会社を通じて行います。エリアで募集をしている管理会社からは、決まりやすい家賃帯や間取りなど、資料だけでは分からない情報が得られることがあります。

まとめ

収益物件は、基準を決め、資料で絞り込み、現地で実態を確かめ、購入前の調査を経て契約に進みます。

  • 探す条件は、目的・予算・融資の見込みから先に決める
  • 利回りは現況の家賃で計算し直し、空室と経費を入れて比べる
  • 現地では、資料と実態が合っているかを確かめる
  • 権利関係・賃貸借契約・修繕履歴は、申し込みの前に書類で確認する
  • 契約書と重要事項説明書の案は、契約日より前に読んでおく

まずは、気になる物件のレントロールを取り寄せ、現況の家賃で収支を計算し直すところから始めてみてください。焦らず、複数の物件を比較しながら、納得できる物件を選ぶことが大切です。

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この記事を書いた人

ときどのアバター ときど 宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/2級ファイナンシャル・プランニング技能士(個人資産相談業務)/相続支援コンサルタント

不動産業界12年目。現在も北関東の不動産会社に勤務し、賃貸管理・収益物件の売買・査定・現地確認などの実務に携わっています。栃木・群馬・茨城の収益物件について、空室・修繕・融資・売却まで、利回りだけでは分からない点を現場目線で解説しています。

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