不動産管理会社とは、収益物件のオーナーに代わって、入居者募集、家賃管理、入居者対応、建物の巡回点検、オーナーへの報告といった運営業務を行う会社です。購入までを担う仲介会社に対し、管理会社は購入後の運用期間を通して関わり続けます。
この記事では、管理会社の仕事内容、仲介会社との違い、手数料と契約で確認したいこと、任せるメリット・デメリット、良い管理会社の見分け方を、現場の実務の視点で解説します。
不動産管理会社とは?仲介会社との違い
管理会社は、契約が成立したあとの日々の運営を継続して担う会社で、契約を成立させることが役割の仲介会社とは関わる期間が異なります。
| 仲介会社 | 管理会社 | |
|---|---|---|
| 主な役割 | 売買・賃貸借の契約を成立させる | 契約後の運営・管理を継続して行う |
| 主な出番 | 購入時・入居時 | 物件を持っている間ずっと |
| オーナーとの関わり | 取引が終われば一区切り | 月次の報告など、長期的な関係になる |
地方では、同じ不動産会社が仲介と管理の両方を行っていることも多くあります。ただし、管理業務は管理会社とオーナーが結ぶ「管理委託契約」に基づいて行われるため、仲介の取引とは別に、契約の内容を確認する必要があります。1棟の収益物件を長期的に運用するうえでは、管理会社との関係は仲介会社との関係よりも長く、深いものになります。

管理会社の主な仕事内容
管理会社の仕事は、入居者募集、入居中の管理、建物管理・巡回点検、退去対応、オーナーへの報告の5つに大きく分けられます。外からは地味に見えても、実際には多岐にわたる業務を担っています。
入居者募集
空室が出たときに、入居者を探す活動を担います。不動産投資を始めたばかりの方が特に不安に感じるのが、空室です。
- ポータルサイトへの掲載
- 仲介店舗への物件情報の周知
- 内見対応の調整
- 入居審査
同じ物件でも、募集の力の入れ方によって、入居が決まるまでの期間は変わる可能性があります。地方物件で空室が長引く原因は地方物件の空室はなぜ起きる?管理会社が見ている原因と対策で解説しています。
入居中の管理
入居者が住んでいる間の対応も、管理会社の重要な仕事です。
- 家賃の管理(入金確認、滞納時の対応)
- 入居者からの問い合わせ・トラブル対応(水漏れ、設備の不具合、隣人トラブルなど)
- 契約更新の手続き
日々の小さな困りごとへの対応の積み重ねが、入居者の満足度と長期入居につながります。入退去のときに管理会社が何を見ているかは入居者の入退去、管理会社は何を見ているのかで解説しています。
建物管理・巡回点検
建物そのものを守る仕事も欠かせません。管理スタッフは定期的に物件を巡回し、共用部の清掃状況、外壁・屋根などの劣化のサイン、設備の不具合の有無を確認します。小さな異変に早く気づけるかどうかが、後の大きなトラブルや修繕費を避けられるかどうかを左右します。
点検の具体的な内容は地方物件の定期点検で管理会社が必ず見ているポイント、修繕費との向き合い方は収益物件の修繕費、どう向き合う?をご覧ください。
退去対応・原状回復の手配
退去時は、立会いで部屋の状態を確認し、原状回復工事を手配して、次の募集につなげます。原状回復の仕上がりは、次の募集写真や内見時の印象にも影響するため、収益面でも軽視できない工程です。
オーナーへの報告・相談対応
管理会社は、毎月オーナーへ月次報告書を提出するのが一般的です。家賃の入金状況、空室状況、発生した修繕対応などを共有し、必要に応じて今後の対応を相談します。この報告・相談のやり取りが、オーナーと管理会社の信頼関係の土台になります。オーナーの側でどう付き合うかは収益物件で成功するオーナーに共通する、管理会社との付き合い方で解説しています。
管理会社に任せきれない、オーナーが判断すること
管理会社が担うのは運営の実務であり、収益物件の経営に関する最終的な判断はオーナーが行います。たとえば、修繕にどれだけ費用をかけるか、家賃や募集条件をどう見直すか、いつ売却するかといった判断です。どこまでが管理会社の役割で、どこからがオーナーの判断かは不動産管理会社とオーナーの違いとは?役割・責任・権限を一覧で整理で整理しています。

管理委託手数料と、契約で確認したいこと
管理委託手数料は、家賃収入の3〜5%程度が一般的な目安とされますが、会社・地域・契約内容によって異なります。手数料の数字だけで比べず、どこまでの業務が含まれるかを見ることが大切です。
手数料に含まれる業務の例は、入居者対応、修繕対応、滞納対応、空室募集、退去対応、建物管理です。ただし、含まれる範囲は会社によって異なり、一部が別途費用になることもあります。契約前に、次の点を確認してください。
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 手数料と含まれる業務 | 募集、入居者対応、修繕手配、滞納対応、退去対応、建物管理のうち、どこまで含まれるか |
| 別途費用 | 更新、退去立会い、修繕手配、募集にかかる費用が別途になるか |
| 承認の範囲 | 修繕などを、管理会社の判断で進められる範囲と、オーナーの承認が必要な範囲 |
| 契約期間・解約条件 | 契約期間、解約の予告期間、違約金の有無 |
| 報告の内容と頻度 | 月次報告の内容、写真つきの報告があるか |
| 家賃の管理 | 入金から送金までの流れと、管理の方法 |
管理委託とサブリースの違い
管理委託は、管理会社が業務を代行する契約です。サブリースは、管理会社などがオーナーから物件を一括で借り上げ、入居者に転貸する仕組みです。仕組みが異なるため、混同しないようにします。
サブリースは、空室でも一定の賃料が支払われる印象を持たれがちですが、賃料の見直しや契約の解約に関する条項があり、条件は契約によって異なります。契約前に、賃料が見直される条件や解約の条件を、契約書と重要事項の説明で確認してください。
賃貸住宅管理業法による登録と説明
賃貸住宅管理業法により、管理戸数が200戸以上の賃貸住宅管理業者は、国土交通大臣への登録が義務付けられています。登録業者には、管理受託契約の前の重要事項の説明、家賃などの分別管理、オーナーへの定期報告などの義務があります。
管理戸数が200戸未満の会社は登録が義務ではなく、任意で登録している場合があります。登録の有無だけで良し悪しは判断できませんが、契約前の説明が書面で行われるか、登録番号が示されているかは、確認の材料になります。制度の内容は変更されることがあるため、最新の情報は国土交通省の公表資料でご確認ください。

管理会社に任せるメリット・デメリット
本業のある会社員や、物件から離れて暮らすオーナーにとって、管理会社に任せるメリットは大きい一方、コストと会社ごとの差というデメリットもあります。
メリット
- 本業がある会社員・公務員でも、管理の手間をかけずに運用しやすい
- 入居者対応やトラブル対応を、専門知識のある会社に任せられる
- 空室募集のノウハウや、仲介会社とのネットワークを活用できる
デメリット
- 管理委託手数料が毎月のコストとして発生する
- 管理会社によって、対応力や提案力に差がある
- すべてを任せきりにすると、物件の状態が見えにくくなることがある
自分で管理する「自主管理」という選択肢もあります。物件が近く、入居者対応や募集に時間を使える場合は、コストを抑えられる可能性があります。ただし、遠方に住んでいる場合や本業が忙しい場合は、緊急の対応が難しくなります。
管理会社に丸投げせず、報告を確認して、気になる点は相談する。この適度な距離感を保てるかどうかが、管理会社をうまく活用できるかどうかの分かれ目です。
良い管理会社を見分けるポイント
良い管理会社を見分けるには、対応の早さ、実績の根拠、修繕提案の誠実さ、質問への向き合い方の4つを見ます。物件を購入する前の段階から確認しておくと、購入後のミスマッチを防ぎやすくなります。
- 対応が早い:完璧な答えでなくても、「今どうなっているか」をすぐに共有してくれる
- 入居率の実績に根拠がある:管理物件の入居率を数字で説明でき、その数字が何を指すか(算出の方法)も説明できる
- 修繕提案が誠実:「今すぐ必要な修繕」と「様子を見てよい修繕」を、理由とともに分けて提案してくれる
- オーナーの質問に丁寧に答える:疑問や不安に対して、根拠を示して向き合ってくれる
入居率は、会社によって数え方(管理物件全体の平均か、募集中の物件を除くかなど)が異なるため、数字だけで単純に比べないようにします。詳しい見分け方は現場スタッフが思う「良い管理会社」とは、管理会社の反応から運用のヒントを読み取る方法は管理を任せたら終わりではない|管理会社の「反応」から読み取れる運用のヒントで解説しています。
北関東・地方の物件で意識したいこと
北関東(栃木・群馬・茨城)を含む地方では、管理会社の選択肢が限られやすく、対応エリアと募集の経路を購入前に確認しておくことが大切です。
- 物件のエリアが、その管理会社の対応エリアに入っているか
- 募集を、地元の仲介会社とどのように連携して行っているか
- 駐車場の区画や無断駐車といった、車社会ならではの管理を扱えるか(地方不動産投資で駐車場が重要な理由と、必要台数の考え方)
- 物件の条件によっては、管理を引き受けてもらいにくいケースがあるため、購入前に管理会社の意見を聞く(不動産管理会社が「やりやすい」と感じる物件)
これから物件を購入する段階の方は、購入前に管理会社へ話を聞いておくと、その物件の管理のしやすさや募集の見通しを確認できます。購入前に管理会社へ確認したい質問と相談のタイミングも参考にしてください。
よくある質問
Q. 管理会社と仲介会社は、同じ会社にお願いしたほうがいいですか?
必須ではありません。購入時の物件情報や周辺の状況を把握している分、連携がスムーズになることが多くあります。ただし、管理の実績や対応力を優先して選んだほうが、長期的には納得しやすい傾向があります。
Q. 管理委託手数料の相場は、どのくらいですか?
家賃収入の3〜5%程度が目安とされることが多いですが、会社・地域・契約内容によって異なります。手数料に含まれる業務(集金代行のみか、トラブル対応まで含むか)や、別途費用の有無とあわせて確認してください。
Q. 管理会社は、購入前に決めておいたほうがいいですか?
購入前に、候補となる管理会社に相談しておくことをおすすめします。物件の条件によっては、管理を引き受けてもらいにくいこともあり、購入後に探すと選択肢が限られる可能性があるためです。
Q. 管理会社を途中で変更することはできますか?
可能です。ただし、契約期間や解約条件が管理委託契約に定められているため、契約書を確認する必要があります。入居者への影響が出ないよう、引き継ぎのタイミングを管理会社とすり合わせてください。
Q. 管理会社を使わずに、自主管理でもできますか?
物件が近く、入居者対応や募集に時間を使える場合は、可能なケースがあります。ただし、緊急時の対応や、募集のネットワークの面では、管理会社に任せる場合と差が出やすくなります。遠方の物件や本業が忙しい場合は、管理会社への委託を検討するほうが現実的です。
まとめ
不動産管理会社は、家賃を集める代行業者にとどまらず、購入後の運用を支える実務パートナーです。
- 仲介会社は「購入まで」、管理会社は「購入してから」の関わり
- 業務は、入居者募集・入居中の管理・建物管理・退去対応・オーナーへの報告と多岐にわたる
- 手数料は数字だけでなく、含まれる業務と別途費用、承認の範囲、解約条件で確認する
- 丸投げではなく、適度な距離感で報告・相談し合える関係が理想
収益物件を検討するときは、物件そのものと同じくらい、「どんな管理会社と組むか」も購入判断の材料にしてください。まずは、候補の管理会社に、上の表の確認項目を聞いてみることから始められます。
この記事は、賃貸仲介・管理・収益不動産の売買仲介など、不動産会社での実務経験をもとに執筆しています。

