地方の賃貸需要は都市部と何が違う?駐車場・間取り・生活動線から見る3つの特徴

当ページのリンクには広告が含まれています。
地方の賃貸需要を解説する画像。駐車場付きアパート、間取り図、周辺地図とスーパー・学校を配置。

地方で収益物件を検討していると、都市部の情報と同じ見方で賃貸需要を判断してよいのか、迷うことがあると思います。

結論から言うと、公共交通が充実した都市部と、車での移動が中心の地方エリアでは、入居者が住まいを選ぶ前提が異なります。都市部では駅からの距離が重視されやすいのに対し、車移動が中心のエリアでは「車で無理なく暮らせるか」が入居の判断に影響しやすくなります。差が出やすいのは、駐車場・間取り・生活動線の3点です。

この記事では、3つの違いを一般的な傾向として整理し、購入前に何を確認すると判断しやすいかを解説します。エリアの調べ方や駐車場の必要台数などの個別のテーマは、関連記事で詳しく扱っています。

目次

都市部と地方の賃貸需要の違い【比較表】

次の表は、公共交通が充実した都市部と、車移動が中心の地方エリアを比較した一般的な傾向です。同じ県の中でも、県庁所在地の駅周辺や都心への通勤圏にある駅の周辺など、都市部に近い傾向を持つ地区があります。

比較項目公共交通が充実した都市部車移動が中心の地方エリア
主な移動手段電車・徒歩が中心になりやすい自動車が中心になりやすい
立地の評価駅からの距離が重視されやすい日常の行き先へ車で行きやすいかが重視されやすい
駐車場なくても入居が決まる物件がある入居の前提条件になりやすい
間取りを考える手がかり駅や路線を使う人の顔ぶれ周辺の勤務先・学校など、車で通う先の顔ぶれ
需要の差が出る単位駅や路線ごとに比べやすい同じ市の中でも、地区ごとに差が出やすい

違い①:車移動が中心のエリアでは、駐車場が入居の前提条件になりやすい

車移動が中心の地方エリアでは、駐車場は付加価値ではなく、入居を検討してもらうための前提条件になりやすい設備です。通勤・買い物・通院の多くを車で行う人にとって、駐車場がない部屋は候補に入りにくいためです。

公共交通が充実した都市部では、駐車場がなくても入居が決まる物件があります。一方、車移動が中心のエリアでは、内装や家賃が希望に合っていても、駐車場の条件で候補から外れることがあります。購入後に募集を始めてから台数の不足に気づくと、家賃の見直しや近隣での駐車場の確保が必要になる場合があります。

販売図面の「駐車場あり」だけでは判断しにくい

販売図面に「駐車場あり」と書かれていても、台数、敷地内か敷地外か、現在どれだけ契約されているかまでは分からないことがあります。

購入前には、レントロール(部屋ごとの賃料や契約条件をまとめた一覧表)、駐車場契約一覧、配置図などを照合し、台数・場所・契約状況を確かめておくと判断しやすくなります。資料どうしで内容が合わない点や、資料から読み取れない点は、売主・管理会社に確認します。区画の広さや車の出し入れのしやすさは資料だけでは分かりにくいため、現地で区画を見ておきたい項目です。

必要な台数の目安と見極め方は、収益物件の駐車場は何台必要?地方・北関東で確認したい台数の目安と見極め方で詳しく解説しています。

違い②:間取りは「その地区で誰が借りるか」と合っているかが問われる

車移動が中心の地方エリアでは、物件の周辺に住む人や通う人の世帯構成と、間取りが合っているかどうかが、入居の決まりやすさに影響します。入居希望者の数が限られるエリアでは、需要と合わない間取りの部屋は、家賃などの条件を見直さないと決まりにくくなることがあるためです。

地方には、ファミリー層の需要が中心の地区もあれば、工場・病院・大学などの近くで単身者の需要がある地区もあります。ファミリー層の需要が中心の地区で単身向けの物件を持つと、借り手が限られることがあります。反対に、単身者の需要が中心の地区で広い間取りの物件を持つと、条件を見直しても決まりにくい場合があります。

間取りと駐車場はセットで見る

見落とされやすいのが、間取りと駐車場の組み合わせです。たとえば、二人暮らしや家族向けの間取りなのに駐車場が1戸1台分しかない物件は、2台目が必要な世帯から候補外にされることがあります。「この間取りを借りる人は、車を何台持っていそうか」まで考えると、需要とのズレに気づきやすくなります。

間取りごとの主な入居者層は、不動産投資のシンプルで無難な間取りで整理しています。

違い③:駅からの距離より「車での生活動線」が評価されやすい

車移動が中心の地方エリアでは、駅からの距離よりも、車で毎日の用事をこなしやすいかどうかが評価されやすくなります。通勤・買い物・子どもの送り迎えを車で行う入居者が多いエリアでは、駅の近さが日常の便利さにつながりにくいためです。

生活動線とは、住まいを起点にした毎日の移動のしやすさのことです。車移動が中心のエリアでは、次のような点が入居の判断材料になりやすくなります。

  • スーパーやドラッグストアに、車で行きやすいか
  • 主な勤務先(工場・病院・事業所など)へ通いやすいか
  • 学校・保育園・病院が生活圏にあるか
  • 幹線道路に出やすく、朝夕の渋滞に巻き込まれにくいか

駅から離れていても、幹線道路に出やすく、スーパーが近い物件のほうが選ばれることがあります。生活動線は地図だけでは分かりにくいため、朝や夕方の時間帯に、物件から主な行き先まで実際に車で走ってみると確かめやすくなります。

地方でも駅の近さが強みになる地区はある

地方でも、県庁所在地の駅周辺や、都心への通勤圏にある駅の周辺では、電車で通勤・通学する人の需要が見込める場合があります。「地方だから駅は関係ない」と決めつけず、物件の周辺に住む人がどんな移動をしているかで判断することが大切です。

同じ市の中でも、地区によって需要の前提が変わる

地方の賃貸需要は、市や県全体の印象ではなく、物件の周辺で考える必要があります。地方では、同じ市の中でも、中心部、工業団地や大きな事業所の周辺、郊外の住宅地などで、借りる人の顔ぶれや車の使い方が変わりやすいためです。

北関東(栃木・群馬・茨城)でも、同じ市名の物件で比べるだけでは、求められる駐車場や間取りの条件は分かりません。人口や世帯数、需要を支える施設などの具体的な調べ方は、不動産投資で賃貸需要があるエリアを見極める方法で解説しています。県ごとの特徴は、北関東の不動産投資とは?栃木・群馬・茨城の特徴とエリア選びの考え方で確認できます。

高利回りの地方物件ほど、3つの違いを確認したい理由

地方で表面利回りが高い物件ほど、駐車場・間取り・生活動線の3点を確認しておきたいところです。表面利回りとは、年間家賃収入を物件価格で割った簡易的な収益性の指標です。3つの点のどれかで需要とズレている物件は、空室が続きやすく、その分だけ価格が下がって利回りが高く見えている場合があります。

たとえば、駐車場が足りない、地区の需要と間取りが合っていない、車での生活が不便な場所にある、といった物件は、販売図面の数字だけを見ると魅力的に映ることがあります。販売図面の利回りが満室を前提にした数字(満室想定利回り)であれば、空室を埋めるまでに時間がかかり、想定した収入にならない可能性もあります。

空室が続く原因の整理は地方物件の空室はなぜ起きる?管理会社が見ている原因と対策で、現地で確認したい項目は地方の高利回り物件は現地調査が重要|購入前に確認したいポイントを解説で解説しています。

購入前に「誰に・どの条件で貸せるか」を整理する

購入前には、「この部屋を、誰に、どの条件で貸せるか」を整理すると判断しやすくなります。3つの違いを、購入前の確認項目にすると次のようになります。

確認項目整理したいこと主な資料・確認先
駐車場戸数に対する台数、敷地内か敷地外か、現在の契約状況レントロール・駐車場契約一覧・配置図、売主・管理会社、現地
間取り周辺の需要に合う入居者層、その層が必要とする駐車台数周辺で募集中の物件、地元の管理会社
生活動線主な行き先へ車で無理なく移動できるか地図、時間帯を変えた現地での走行
空室の理由今ある空室が、上の3点と関係していないかレントロール、売主・仲介会社への質問

気になる点が見つかっても、すぐに「買ってはいけない物件」と判断する必要はありません。その弱点が購入価格や家賃設定に反映されているか、改善できる余地があるかも含めて検討します。

よくある質問

地方の単身向け物件は需要がありませんか?

一律に需要がないとは言えません。工場・病院・大学などの近くでは、単身者の需要が見込める地区もあります。物件の周辺に単身者が通う先があるか、車を持つ単身者が多い場合に駐車場が確保されているかを確認しましょう。

駐車場が足りない物件は、買わない方がいいですか?

駐車場が足りないことだけで、購入を見送ると決める必要はありません。ただし、近隣で駐車場を確保できるか、その費用を家賃や購入価格にどう反映するかは、購入前に確かめておく必要があります。駐車場の不足が理由で空室が続いている物件は、改善の見込みを立ててから判断しましょう。

遠方に住んでいて、地方の需要が分かりません。どうすればいいですか?

地元の管理会社や仲介会社に話を聞くのが近道です。どんな入居者が多いか、どの間取りが決まりやすいか、駐車場はどの程度あれば募集しやすいかを聞くと、資料だけでは分からない判断材料が増えます。購入を決める前には、一度は現地を見ておくことをおすすめします。

都市部と地方では、どちらの物件が投資に向いていますか?

一概には言えません。都市部と地方では、価格・利回り・需要の前提が異なり、同じ物差しで優劣を決めにくいためです。地方の物件を検討する場合は、利回りの数字だけでなく、駐車場・間取り・生活動線の3点で需要とのズレがないかを確かめ、収益性や売却時の見通しまで含めて判断しましょう。

まとめ

公共交通が充実した都市部と、車移動が中心の地方エリアでは、賃貸需要の前提が異なります。地方エリアの物件を検討するときは、駐車場・間取り・生活動線の3点で、物件の周辺の需要とズレがないかを確かめることが大切です。

3つの違いを理解したら、次は検討しているエリアで実際の需要を確かめる段階です。エリアの見極め方は、次の記事で解説しています。

あわせて読みたい

地方の賃貸需要を解説する画像。駐車場付きアパート、間取り図、周辺地図とスーパー・学校を配置。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

ときどのアバター ときど 宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/2級ファイナンシャル・プランニング技能士(個人資産相談業務)/相続支援コンサルタント

不動産業界12年目。現在も北関東の不動産会社に勤務し、賃貸管理・収益物件の売買・査定・現地確認などの実務に携わっています。栃木・群馬・茨城の収益物件について、空室・修繕・融資・売却まで、利回りだけでは分からない点を現場目線で解説しています。

目次