収益不動産を始めるためのステップ3:融資先の検討と事前審査

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「収益物件の融資は、どの金融機関に、いつ、何を持って相談すればいいのか分からない」という方は多いのではないでしょうか。

結論として、融資先は、物件のあるエリアと自分の居住地の両方を取り扱える金融機関から候補を挙げます。物件を探し始める前に「事前相談」をしておき、買いたい物件が決まったら事前審査、売買契約、本審査の順に進めます。事前審査に通っても、融資が確定したわけではない点に注意が必要です。

この記事では、融資先の選び方、金利タイプの考え方、事前審査の流れと必要書類、審査の前に準備しておきたいことを解説します。収益不動産を始めるためのステップ3として、地方の収益物件で融資を検討するときの注意点も、取引の実務の視点から整理しました。

目次

結論|融資は「事前相談→事前審査→売買契約→本審査」の順で進む

収益物件の融資は、段階ごとに目的が異なります。全体の流れを先に把握しておくと、どの時点で何を準備すればよいかが分かります。

段階時期内容
事前相談物件を探し始める前〜探している間年収・自己資金・既存の借入をもとに、融資を検討できるか、条件の目安を聞く
事前審査(仮審査)買いたい物件が決まったとき物件の資料と本人の資料をもとに、融資の可否と条件の目安が示される
売買契約事前審査の後融資特約の内容と期限を確認して契約する
本審査売買契約の後詳細な審査を経て、融資が正式に承認される

段階の呼び方や進め方は、金融機関によって異なります。最初に相談するときに、その金融機関での流れを確認してください。

1. 融資先の選定|金融機関の種類と特徴

融資先は、金融機関の種類ごとの傾向を知ったうえで、複数の候補に相談して選びます。金利、融資期間、対象とする物件やエリアは、金融機関によって異なるためです。

種類特徴の傾向注意点
都市銀行金利は低めの傾向。本人の収入や資産、物件の条件が重視される審査は厳しめ。地方の物件や築年数の古い物件は対象になりにくいことがある
地方銀行地域に根ざした融資。営業エリア内の物件や居住者を対象にすることが多い営業エリアの外は対象外になることがある
信用金庫・信用組合営業エリアが限られる。地元の物件や小規模な物件の相談がしやすい金利は銀行より高めになることがある
ノンバンク対象とする物件や人の幅が広く、手続きが早い傾向金利は高めになることが多く、返済の負担が重くなる

表の内容は一般的な傾向です。実際の条件は、金融機関ごと、時期ごとに異なります。「どの金融機関が一番良いか」は一概に言えないため、自分の状況と物件の条件に合う先を、相談しながら探すことになります。

地方の物件で融資先を探すときに確認したいこと

地方の収益物件では、最初に「物件の所在地と自分の居住地が、その金融機関の対象になるか」を確認します。地方銀行や信用金庫には営業エリアがあり、物件の所在地か借りる人の居住地のどちらかがエリアの外にあると、対象外になることがあるためです。東京に住みながら北関東(栃木・群馬・茨城)の物件を購入する場合などは、相談の最初に確認しておきます。

物件の評価方法も、金融機関によって異なります。土地と建物の価格から評価する方法(積算評価)を重視する金融機関もあれば、家賃収入から評価する方法(収益還元評価)を重視する金融機関もあります。同じ物件でも、相談先によって融資額や期間が変わることがあります。

築年数と融資期間の関係も確認が必要です。法定耐用年数(木造は22年、鉄筋コンクリート造は47年など)の残りの年数を、融資期間の目安にする金融機関があります。築年数の古い物件は融資期間が短くなりやすく、同じ借入額でも毎月の返済額が増えます。

収益物件を扱う不動産会社は、そのエリアの物件に融資をした実績のある金融機関を把握していることがあります。物件を紹介してもらうときに、「この物件に取り組めそうな金融機関はあるか」を聞いてみるのも一つの方法です。

2. 金利タイプの選定

金利タイプは、「金利が上がったときに、返済を続けられるか」を基準に選びます。収益物件では、金利が上がっても、家賃を同じように上げられるとは限らないためです。

金利タイプ特徴注意点
固定金利借入期間中の金利が変わらず、返済額が一定。返済計画を立てやすい変動金利より金利が高めに設定されることが多い
変動金利借入当初の金利が低めに設定されることが多い金利が定期的に見直され、上昇すると返済額が増える
固定期間選択型一定の期間は金利が固定され、期間の終了後に金利タイプを選び直す固定期間が終わった時点の金利によって、返済額が変わる

変動金利を選ぶ場合は、金利が上がったときの返済額を事前に試算し、家賃収入と手元の資金で対応できるかを確認します。金利や借入期間を変えた場合の収支は、収益不動産35年収支シミュレーションで試算できます。

売却を考えている場合は、繰り上げて返済するときの手数料も確認します。固定金利の期間中に一括で返済すると、手数料や違約金がかかる契約があります。物件を売却するときには借入を一括で返済するため、売却時の手残りに影響します。

3. 事前審査(仮審査)の流れ

事前審査(仮審査)とは、買いたい物件が決まった段階で、金融機関が融資の可否と条件の目安を判断する手続きです。物件が決まる前の段階では、事前審査ではなく「事前相談」を行い、融資を検討できるかどうかの感触を確かめておきます。

  1. 事前相談:年収、自己資金、既存の借入、検討しているエリアと物件の種類を伝え、取り組めるかどうかを聞く
  2. 物件の資料をそろえる:買いたい物件が出たら、不動産会社から資料を受け取る
  3. 事前審査を申し込む:本人の資料と物件の資料を金融機関に提出する
  4. 結果を受け取る:融資額、金利、融資期間の目安が示される
  5. 売買契約を結ぶ:融資特約の内容を確認して契約する
  6. 本審査を受ける:正式な承認を受け、融資の契約と決済に進む

収益物件の取引では、購入の申し込みが重なったときに、融資の見込みが立っている買主が優先されることがあります。物件を探し始める前に事前相談を済ませておくと、買いたい物件が出たときに早く動けます。

事前審査に必要な書類

事前審査では、本人に関する資料と、物件に関する資料の両方を提出します。必要な書類は金融機関によって異なるため、申し込む前に確認してください。

区分主な書類
本人の確認と収入本人確認書類(運転免許証など)、源泉徴収票、確定申告書(申告をしている場合)
資産と借入預貯金などの残高が分かる資料、既存の借入の返済予定表
物件物件概要書、レントロール(部屋ごとの家賃や契約状況の一覧)、登記事項証明書、固定資産評価証明書、修繕履歴

収入に関する書類は、複数年分を求められることが多くあります。物件の資料は、不動産会社を通じて売主から受け取ります。レントロールや修繕履歴がそろわないと、審査が進みにくくなるため、早めに依頼しておきます。

事前審査の結果と次のステップ

事前審査の結果では、融資額、金利、融資期間の目安が示されます。事前審査に通っても、本審査でより詳しい確認が行われるため、融資が確定したわけではありません。本審査で条件が変わることや、承認されないこともあります。

結果が出るまでの期間は、金融機関や物件によって異なります。売買契約までの日程に関わるため、申し込むときに目安を確認しておきます。

売買契約では、融資特約を確認する

融資を利用して購入する場合は、売買契約書の融資特約(ローン特約)を確認します。融資特約とは、融資が承認されなかった場合に、売買契約を白紙に戻せるという取り決めのことです。

確認したいのは、特約の期限、対象になる金融機関、融資の金額です。本審査の結果が期限までに出るかどうかを、金融機関と不動産会社の両方に確認しておきます。契約の内容は物件ごとに異なるため、重要事項説明のときに、分からない点を質問してください。

4. 融資審査で見られるポイント

収益物件の融資審査では、「借りる人」「物件」「返済の計画」の3つが見られます。住宅ローンと違い、物件が生む家賃収入も審査の対象になります。

  • 借りる人:年収、勤務先と勤続年数、既存の借入、信用情報、自己資金と金融資産
  • 物件:家賃収入と入居の状況、土地と建物の評価、築年数と構造、エリアの賃貸需要
  • 返済の計画:空室や修繕が発生しても返済を続けられるか、手元に資金が残るか

信用情報とは、ローンやクレジットカードの契約と返済の記録のことです。過去に返済の遅れがあると、審査に影響することがあります。自分の信用情報は、信用情報機関(CIC、JICC、全国銀行個人信用情報センター)に開示を請求して確認できます。

審査で見られる項目や、金融機関による条件の違いは、不動産投資ローンの審査ポイントと金融機関ごとの違いで詳しく整理しています。

5. 事前審査の前に準備しておきたいこと

事前審査の前には、自己資金の配分、相談先の候補、収支の計画の3つを準備しておきます。金融機関に、購入後も運営を続けられることを説明できる状態にしておくためです。

  • 自己資金の配分を決める:頭金を増やすと借入額は減りますが、手元の資金をすべて頭金に入れると、購入後の修繕や空室に対応できなくなります。購入時の諸費用と予備費を残したうえで、頭金の額を決めます。
  • 相談先の候補を絞る:種類の異なる金融機関に相談すると、条件の違いが分かります。ただし、ローンの申し込みは信用情報に記録されるため、候補を絞ってから申し込みます。
  • 取引のある金融機関にも相談する:給与の振込先など、すでに取引のある金融機関があれば、相談先の候補に入れます。
  • 収支の計画を説明できるようにする:家賃、空室、修繕費の想定と、金利が上がった場合の返済額を整理しておきます。

自己資金の整理の進め方は、物件を探す前に自分の資金状況を棚卸しする方法で解説しています。

よくある質問

Q. 物件が決まっていなくても、事前審査は受けられますか?

A. 事前審査は、買いたい物件を特定して行うのが一般的です。物件が決まる前の段階では、年収や自己資金をもとに、融資を検討できるかどうかを聞く「事前相談」ができます。金融機関によって対応が異なるため、相談するときに確認してください。

Q. 事前審査に通らなかった場合は、どうすればいいですか?

A. 通らなかった理由が、借りる人の条件にあるのか、物件にあるのかを整理します。理由が物件やエリアにある場合は、別の金融機関では結果が変わることがあります。自己資金を増やす、借入額を減らす、物件の条件を見直す、といった方法も検討します。

Q. 変動金利と固定金利は、どちらを選べばいいですか?

A. どちらが良いかは、一概には言えません。金利が上がったときに、家賃収入と手元の資金で返済を続けられるかどうかで判断します。返済額が変わることを避けたい場合は固定金利が、当初の返済額を抑えたい場合は変動金利が選択肢になります。

Q. 事前審査には、どのくらいの期間がかかりますか?

A. 期間は金融機関や物件によって異なります。書類がそろっているかどうかでも変わります。売買契約の日程に関わるため、申し込むときに、結果が出るまでの目安を金融機関に確認してください。

まとめ

収益不動産を始めるためのステップ3「融資先の検討と事前審査」では、融資の流れを把握したうえで、早めに金融機関へ相談することが大切です。

  • 融資は、事前相談、事前審査、売買契約、本審査の順で進む
  • 融資先は、物件の所在地と自分の居住地を取り扱える金融機関から探す
  • 金利タイプは、金利が上がったときに返済を続けられるかで選ぶ
  • 事前審査に通っても、融資は確定ではない。売買契約では融資特約を確認する

まずは、候補の金融機関を2〜3か所挙げ、物件を探しているエリアが対象になるかを聞くところから始めてみてください。エリアの調べ方は、前のステップの収益不動産投資の市場調査と情報収集で解説しています。

事前審査で借入額の目安がつかめたら、次は具体的な物件を選び、現地で確認する段階です。続きは次のステップ:物件の選定と現地見学で確認することで解説しています。

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この記事を書いた人

ときどのアバター ときど 宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/2級ファイナンシャル・プランニング技能士(個人資産相談業務)/相続支援コンサルタント

不動産業界12年目。現在も北関東の不動産会社に勤務し、賃貸管理・収益物件の売買・査定・現地確認などの実務に携わっています。栃木・群馬・茨城の収益物件について、空室・修繕・融資・売却まで、利回りだけでは分からない点を現場目線で解説しています。

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