
このブログでは、不動産会社の“リアルな一日”を、一般視点から少しゆるめにお届けします。「これから不動産業界で働いてみたい」「管理会社って何してるの?」
そんな方に、少しでも身近に感じてもらえたら嬉しいです。
管理会社で働いていると、毎日のように大小さまざまなトラブルが起こります。
その中でも、今でも忘れられないのが「隣人トラブル」の対応です。
ある日、夕方に一本の電話が入りました。
「上の部屋の足音がうるさくて、夜眠れないんです!」
電話口の女性の声は、明らかに苛立ちと疲れが混じっていました。
私は「すぐに注意します」と言ってしまい、相手の話を最後まで聞かずに電話を切ってしまったんです。
でも、実際に現場を確認すると、足音の原因は“上の階の床のたわみ”でした。
つまり、誰かのマナーではなく、建物の構造によるもの。
軽率に「注意します」と言ってしまったことで、かえって隣人関係が気まずくなり、双方から苦情を受ける結果になりました。
そのとき、先輩に言われた一言が今も心に残っています。
「聞くって、“情報を集める”ことじゃない。“気持ちを受け取る”ことなんだよ。」
その言葉を聞いて、ハッとしました。
私は“原因”ばかりを探そうとして、“感情”を聞けていなかったんです。
相手がどんな気持ちで電話をしてきたのか。
どんな日常の中で、どれだけ我慢してきたのか。
それを聞く姿勢がなかった。
これはクレームだけに限らずに、収益物件の売買やリフォームなんかでもこの考えは役に立ちました。
それ以来、クレームの電話を受けるときは、 すぐに解決策を言わず、まずは「それは本当にご不便でしたね」と気持ちを受け止めるようにしました。
不思議なことに、それだけで声のトーンがやわらぐことが多いんです。
もちろん、すぐにすべてが解決するわけではありません。
けれど、“聞く力”を持つことで、相手が安心して相談してくれるようになりました。
今では、トラブルが起きても「○○さんならわかってくれる」と言ってもらえることが増えました。
入居者対応の現場で学んだのは、 「正しさよりも、まず共感」。
問題を直す前に、心を落ち着かせることが、管理の第一歩だと感じます。
管理の仕事って、建物だけでなく“人の関係”も守る仕事。
そしてそれを支えるのが、何よりも大切な“聞く力”なんだと、今では胸を張って言えます。
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