先日、これから不動産投資を始めようとしている方から、購入前の相談を受けました。
「利回りが10%を超えていて、価格も安いんですけど、どう思いますか?」
資料を見ると、たしかに数字だけ見れば悪くありません。立地も、地図上ではそこそこ。初心者の方が「お、いいかも」と思うのも無理はない物件でした。
でも、管理の仕事をしている立場から見ると、正直、少し引っかかりました。この感覚は、数字や資料だけでは説明しづらいものです。この記事では、そんな管理現場の本音として、「利回りが高い物件」をどう評価すべきかを解説します。
利回りが高い物件の相談を受けて感じたこと
不動産投資を始めたばかりの方が、一番最初に見る数字。それが利回りだと思います。「利回り10%」「利回り12%」という数字を見ると、どうしても魅力的に感じます。
でも、管理の現場にいると、はっきり言えることがあります。利回りが高い物件ほど、管理が大変なケースが多い。これは感覚ではなく、経験です。
利回りが高い=良い物件ではない
なぜ利回りが高く見えるのか、その理由を一つずつ分解してみます。
まず、価格が安い。安い理由は、築年数がかなり古い、過去にトラブルが多い、エリアの需要が弱い、といった要素が重なっていることがほとんどです。
表面利回りは「家賃 ÷ 価格」で計算されます。つまり、価格が下がれば、利回りは簡単に上がるのです。
なぜ利回りが高く見えるのか
管理の現場では、こんな単純な計算はしません。修繕費はいくらかかりそうか、空室期間はどれくらいか、入居者の入れ替わりは激しくないか。こうしたお金と手間の現実を見ています。
利回りが高い物件ほど、修繕が突発的に発生します。給湯器、配管、屋根。「想定外」が頻繁に起きます。結果として、帳簿上の利回りと、実際に残るお金が大きくズレていきます。
管理現場が見ている「利回りの裏側」
この「帳簿上の利回りと実際の収益のズレ」については、【収支編】その利回り、本当に収益が成立するのかを分解するでも、モデル物件を使って具体的に試算しています。あわせてご覧いただくと、より実感を持って理解できると思います。
入居者層にも影響が出る
さらに、入居者層も影響します。家賃が安い物件は、どうしてもトラブルが起きやすくなります。音、ゴミ、支払い。管理会社としては対応に追われる時間が増えます。
オーナーも精神的に疲れていきます。「思っていた不動産投資と違う」そう感じてしまい、早い段階で手放す方も少なくありません。
初心者が本当に見るべきポイント
管理スタッフの立場から言うと、初心者の方ほど、利回りよりも安定性を見てほしいと思います。数字が少し控えめでも、修繕履歴がはっきりしている、エリアの需要が安定している、管理しやすい建物。こうした物件の方が長く続きます。
このあたりの考え方は、不動産管理会社が「やりやすい」と感じる物件でも「普通の物件が実は一番強い」という視点で詳しく解説しています。
冒頭で相談を受けた物件も、利回りは魅力的でした。でも、管理目線では少し不安が残りました。だからこそ、こう伝えました。「数字は悪くないですが、長く持つなら、もう一度よく考えた方がいいと思います」
この一言は、営業目線では言いづらいかもしれません。でも、管理スタッフとしては、とても大切な本音です。
高利回りの数字に惹かれて焦って判断する前に、まずは自分がどのくらいの物件を狙えるのか、資金計画を確認しておくと、数字に振り回されにくくなります。※PR
※融資条件や審査結果は金融機関・申込者・物件などによって異なります。サービス利用によって融資が承認されることを保証するものではありません。本リンクにはプロモーションが含まれます。
よくある質問
Q. 利回り何%以上なら注意した方がいいですか? A. 明確な基準はありませんが、周辺相場と比べて突出して高い場合は、その理由(築年数、修繕履歴、エリアの需要など)を必ず確認することをおすすめします。
Q. 高利回り物件は絶対に避けるべきですか? A. 必ずしもそうとは限りません。高利回りの理由を正しく理解し、修繕費や空室リスクを織り込んだ上で判断できるのであれば、選択肢の一つになり得ます。
Q. 利回り以外に何を見ればいいですか? A. 修繕履歴の有無、エリアの賃貸需要、建物の管理状態などが重要です。数字だけでなく、こうした「安定性」を示す要素を確認することをおすすめします。
まとめ
利回りの高さは、そのまま「良い物件」を意味するわけではありません。価格が安くなっている理由には、築年数、過去のトラブル、エリアの需要の弱さといった背景があることがほとんどです。
数字が控えめでも、修繕履歴がはっきりし、エリアの需要が安定し、管理しやすい建物の方が、結果として長く安定した収益をもたらします。利回りの数字だけで判断せず、その裏側にある理由まで確認する習慣を持ちましょう。
この記事は、賃貸仲介・管理・収益不動産の売買仲介など、不動産会社での実務経験をもとに執筆しています。
