【収支編】その利回り、本当に収益が成立するのかを分解する

利回りは“事実”ではなく“前提条件”でできている

ということです。

この記事は、【物件スペック編】この物件は”選ばれる理由”を持っているかの続きです。エリア・物件スペックに続いて、今度は収支の数字を分解していきます。


つまり、
数字そのものを信じるのではなく、

「その数字はどういう条件で成り立っているのか」

これを見抜くことが重要になります。


目次

■今回の収支前提の整理

まずは、モデル物件の数字を確認します。

・満室想定家賃:4.5万円 × 4戸
・月額満室収入:18万円
・年間収入:216万円
・価格:1,300万円
・表面利回り:約16.6%

この時点では、

👉 かなり魅力的に見える数字です。

特に16%台という利回りは、
初心者にとっては強く映ります。

ただし、ここからが本番です。


■チェック① 家賃は相場通りか

まず最初に確認すべきは、

👉 家賃の妥当性です。

今回の前提では、

・設定家賃:4.5万円
・周辺相場:4.0〜4.3万円

つまり、

👉 やや高めの設定です。

ここで考えるべきなのは、

「今たまたま入っている家賃」ではなく、

👉 退去後も維持できるかどうか

です。

仮に、次の入居者募集で

・4.2万円
・4.0万円

まで下げる必要があった場合、
どうなるか。


■試算してみる

仮に平均家賃が4.2万円になった場合、

・4.2万円 × 4戸 × 12ヶ月 = 約201.6万円

これだけで、

👉 年間約14万円の減収です。

さらにここから、

・空室期間
・広告費
・管理費

が加わります。

つまり、

👉 見えている利回りは簡単に崩れる

ということです。


■チェック② 空室リスクを織り込んでいるか

次に見るべきは、

👉 空室の前提です。

今回の物件は、
すでに1室空いています。

これは重要なサインです。

なぜなら、

👉 すでに満室ではない=課題がある可能性

だからです。

ここで保守的に考えると、

・年間で1〜2ヶ月空く
・場合によってはもっと長引く

こういった前提を置くべきです。


■チェック③ 実質利回りで考える

ここからは一歩踏み込みます。

表面利回りではなく、

👉 実質利回りで考えます。

ざっくりですが、

・管理費:5%
・修繕積立的な確保:10%
・空室ロス:5%

と仮定すると、

👉 約20%は削られるイメージです。

216万円 × 80% = 172.8万円

これを物件価格の1,300万円で割ると、

👉 経費控除後の参考利回り:約13.3%(172.8万円 ÷ 1,300万円)

※ここでの数字は、運営経費を簡易的に20%と仮定して差し引いた参考値です。融資の返済や税金は含んでいません。

ここからさらに、

・空室の長期化
・突発的な修繕
・募集費
・家賃の下落
・融資の返済

などを考慮すると、実際に手元へ残る収益はさらに下がる可能性があります。


■チェック④ 「高利回りの理由」を考える

ここで一番重要な問いです。

👉 なぜこの物件は利回りが高いのか?

不動産において、

👉 高利回り=理由がある

これが基本です。

今回のケースで考えられる理由は、

・エリアが強くない
・物件に特徴がない
・将来リスクがある

つまり、

👉 リスクが価格に反映されている可能性

があります。


■チェック⑤ 下振れに耐えられるか

最後に見るのはここです。

👉 悪いシナリオでも成立するか?

例えば、

・家賃が4.0万円まで下がる
・1室が半年空く
・軽い修繕が発生

こうなったとき、

・赤字になるのか
・耐えられるのか

ここを確認してください。

今回の物件は、

👉 ギリギリ耐えるか、少し苦しくなるライン

です。


■収支評価まとめ

整理します。

・家賃 → やや強気
・空室 → すでに発生
・利回り → 前提依存
・実質 → 思ったより低い


■最終評価

👉 評価:△(見た目より弱い)


■初心者にとっての意味

この物件の収支は、

👉「悪くはない」
👉「でも安心できるレベルでもない」

という状態です。

つまり、

・少し崩れると一気に不安定になる

という構造です。

初心者にとっては、

👉 “余裕がない物件”

と言えます。


■この時点での全体感

ここまでの評価を整理すると、

・エリア:△
・物件:△〜×
・収支:△

つまり、

👉 「どこにも強みがない」状態

です。

この状態で重要になるのが、

👉 リスクの大きさです。

この記事は、賃貸仲介・管理・収益不動産の売買仲介など、不動産会社での実務経験をもとに執筆しています。

あわせて読みたい

この物件を評価するシリーズ

収支の考え方をさらに深く知りたい方へ

無料シミュレーション

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

ときどのアバター ときど 宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/2級ファイナンシャル・プランニング技能士(個人資産相談業務)/相続支援コンサルタント

不動産業界12年目。現在も北関東の不動産会社に勤務し、賃貸管理・収益物件の売買・査定・現地確認などの実務に携わっています。栃木・群馬・茨城の収益物件について、空室・修繕・融資・売却まで、利回りだけでは分からない点を現場目線で解説しています。

目次