「なんとなく良さそう」で買わないことの大切さについて、以前お伝えしました。その一歩先として、ぜひ持ってほしい基準があります。それが、「この物件を他人に説明できるか」という視点です。
これはとてもシンプルですが、判断の精度を大きく引き上げてくれます。この記事では、この基準を具体的にどう使えばいいのか、実践方法まで含めて解説します。
「なんでこの物件にしたの?」に答えられるか
あなたがこの物件を買おうとしているとします。そのとき、家族や知人にこう聞かれたとします。「なんでこの物件にしたの?」
この質問に対して、どう答えるでしょうか。もし「なんとなく良さそうだったから」としか答えられない場合、少し注意が必要です。
一方で、「このエリアは単身者の需要が安定していて、同じ条件の物件も動いているから」「この家賃設定なら、空室期間が長くなりにくいと判断したから」こうして説明できる場合は、判断にしっかりとした軸があります。
説明できる=判断の軸がある
この違いは、購入後に大きく効いてきます。なぜなら、不動産投資は買った後も判断の連続だからです。
この軸は購入後の意思決定にも効いてくる
例えば、空室が出たとき。「家賃をどうするか」という判断をする場面があります。
そのときに、最初の購入理由がはっきりしていれば、「このエリアはこの価格帯が適正だったはず」と冷静に考えることができます。過去の自分が「なぜこの家賃設定にしたのか」を説明できていれば、今回の判断も同じ軸で考えられるのです。
逆に、最初の判断が曖昧だと、「どうすればいいんだろう…」と迷いやすくなります。基準がないまま、その場その場で判断がブレてしまいます。
つまり、説明できる=判断の軸があるということであり、この軸は購入時だけでなく、その後何年も続く運用の判断すべてに効いてくるのです。
判断の軸がしっかりしていれば、資金計画の見直し(ローンの借り換えなど)といった大きな判断も、落ち着いて検討しやすくなります。不動産投資ローンの借り換えで賢く節約!INVASE(インベース)で金利を見直す方法もあわせてご覧ください。
シンプルに説明できることの強さ
さらにもう一つ大切なのが、「シンプルに説明できるかどうか」です。難しい言葉や複雑な理屈は必要ありません。このエリアだから、この間取りだから、この条件だから。こうしたシンプルな理由で十分です。むしろ、シンプルな方が強いです。なぜなら、本質を捉えているからです。
管理の現場で見ていても、うまくいっているオーナーは説明がとても分かりやすく、ブレません。一方で、うまくいきにくいケースでは、説明がどこか曖昧です。話を聞いていると、「結局どこが決め手だったのか分からない」という状態になっていることもあります。
ここで一つ意識してほしいのが、「第三者目線で考える」ことです。自分一人で判断していると、どうしても都合の良い解釈をしてしまうことがあります。でも、他人に説明する前提で考えると、「ここは少し弱いかもしれないな」と気づくことがあります。この気づきがとても重要です。
不動産投資では、大きなミスよりも、小さな見落としの積み重ねが後悔につながります。だからこそ、事前にその見落としに気づけるかどうかがポイントになります。「他人に説明できるか」は、そのためのシンプルで強力な方法です。
実践:紙に書き出してみる
もし今、検討している物件があるなら、一度試してみてください。紙やメモに、次の項目を書き出してみるのもおすすめです。
- なぜこのエリアなのか:
- なぜこの価格なのか:
- なぜこの物件(間取り・築年数など)なのか:
- この物件の魅力を一言で言うと:
- 家族や知人にどう説明するか:
書き出してみると、意外とスラスラ書ける項目と、言葉に詰まる項目が出てくるはずです。言葉に詰まる部分こそ、判断がまだ曖昧な箇所です。その過程で、判断の質は確実に上がっていきます。
よくある質問
Q. 説明できる理由が1つしか思いつかない場合はどうすればいいですか? A. 理由が少ないこと自体は問題ではありません。ただし、その1つの理由がどれだけ具体的で、根拠を伴っているかを見直してみてください。曖昧なまま1つだけの理由で決めるのは避けた方が安心です。
Q. 家族や知人に説明する以外に、この方法を試す良い方法はありますか? A. 実際に人に話すのが難しい場合は、紙に書き出すだけでも効果があります。声に出して読んでみると、より客観的に自分の判断を確認できます。
Q. この基準はベテラン投資家にも必要ですか? A. はい。経験を積んだ投資家ほど、直感的な判断ができるようになりますが、その直感を言語化する習慣を持ち続けることで、判断の精度をさらに高められます。
まとめ
「この物件を他人に説明できるか」という基準は、購入時の判断だけでなく、空室時の家賃判断など、購入後何年も続く意思決定すべてに効いてくる、シンプルで強力な視点です。
シンプルに、具体的に説明できるかどうか。そして、それを紙に書き出してみる。この習慣が、後悔しない不動産投資につながっていきます。
この記事は、賃貸仲介・管理・収益不動産の売買仲介など、不動産会社での実務経験をもとに執筆しています。

